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WEEKLY INSIDE STORY

第349号 「のと本マグロ」の行方

一年休業の憂き目に

2010年05月10日

昨年度スタートした、「のと本マグロ」の蓄養事業が、本年度休業を余儀なくされました。

 そもそも蓄養事業というのは、ある程度の大きさのマグロ等を、いけすで餌をやりながら太らせて、タイミングをみながら出荷する事業です。

 この事業では、まぐろにおいては、いけすで大きくする中で、とろの部分が増え、キロ単価が倍以上になりビジネスとして成り立つこと、同時に生産者側が相場をコントロールできることで大きなメリットがあります。
 よく豊作貧乏ということが野菜などでいわれますが、市場への出荷量をみながら、市場にだせるというのは、自然を相手にする農林漁業において、極めて魅力的であります。

 しかも、このいけすは日本の沿岸どこにでも設置できる訳ではなく、長期に設置しておくことから、波の静かな内海や湾内に限られており、能登最北端珠洲市の内海側がその適地の一つでありました。

 そこに蓄養事業にノウハウのある函館を本社とする株式会社道水が目をつけ、企業化したのが昨年でありました。

 しかし、昨年はまぐろの量が絶対的に少なかったことと、曳航するタグボートとのタイミングが合わなかったことなどで、目標の200トンどころか5トンあまりしか出荷できず、ビジネスとして採算がとれませんでした。

 尚且つ、昨今の我が国の冷凍まぐろの備蓄量の多さと景気の低迷があいまって、期待した値がつかないというビジネスそのものの厳しさというものに直面し、本年度は蓄養事業を断念することになったのです。

 従って、本年度は蓄養はさておき、まき網船団からの天然マグロのみで勝負ということにならざるをえません。

 珠洲市は、長年原発問題で世論を二分し、結果立地はなくなりましたが、ずっと人口は減り続け現在16000人余りとなってきております。

 目だった産業もない中、将に地域の起爆剤として期待していましたので、残念の極みであります。

 はたして今後この事業はどうなるのか、本当に1年休業のみなのか予断をゆるしませんが、世界的に水産資源の保護が叫ばれている中、この事業の意義というものは決してなくなるものではないと思っております。

 当初よりこの事業化を応援してきたものとして、なんとか引き続きこの地で育っていってほしいと願ってやみません。