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日本政治の実像と虚像

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WEEKLY INSIDE STORY

第566号 「地方創生」に想う

元をただせば

2016年07月1日

 第2次安倍政権で提唱された、「地方創生」という言葉は、896の市町村が消える危機にあると書かれた増田寛也編著による「地方消滅」という著書に啓発されたものといわれています。

 事実、平成17年度ぐらいから日本は人口減少時代に入っており、地方は社会動態(転入と転出の差)のマイナスに、この自然動態(出生と死亡の差)のマイナスが加味され、加速度的に人口がしぼんできているのです。

 そこで、中央省庁の地方移転など、国からはいくつかの提案がなされており、27年度補正予算では1000億円の地方創生加速化交付金なんてものも示されています。

 しかし、私の目からすると、そもそも地方創生をしなければならない状況はどうしてできたのか、だれがこの格差を放置してきたのか、本質的な原因はどこにあるのか、そのことに言及がないのが極めて残念です。

 今日まで、国では我が国のグランドデザインとして、「全国総合開発計画」というものが10年スパンぐらいで作られてきており、今は「国土形成計画」と名前を変えてはおりますが、その最初の全国総合開発計画は、昭和37年に作られています。

 54年前です。

 当時は池田内閣の時代のようですが、その時の基本的課題として何と書いてあるか。なんと「都市の過大化の防止と地域格差の是正」とうたっているのです。

 まさに、産業構造の変化等による都市への人の集中に対する問題意識はすでにそのころからあったはずであります。

 従って、今「地方創生」という耳触りのいい言葉よりも、この大きな格差社会への反省と本質的な処方箋を示すことが必要なのではないかと思うものです。

 参議院は、解散もなく良識の府としての期待もあるわけでありますから、このような課題にもしっかりと取り組んでもらえればと念願するものです。