WEEKLY INSIDE STORY
第486号 臨時財政対策債をどう考えるか
本県の名目県債残高1兆2200億円
2014年03月1日
今回の石川県知事選挙において、現職に対する批判の材料として、本県の県債残高の多さを指摘する声があります。
本県の平成24年度末における県債残高は、1兆2215億円余でありますが、その内訳は、臨時財政対策債3269億円と、復興基金としての転貸債250億円、そしてその他8696億円であります。
一般の県民の方にはなじみのない名称の借金でありますが、転貸債とは「のと沖地震」の復興のために借りた借金で、その金利分を運用するだけで、元本には手をつけず返すことになっている借金ですから、実質県債とはカウントすべきではありません。
また臨時財政対策債とは、本来国から来る予定の地方交付税でありますが、国に手持ちがないことから、地方がそれ相当分を代替わりして借金するもので、後年度金利も含めて地方交付税に加算してカバーされるものであります。
従って、この2つの借金を除いたものが実質県債という見方をしていいのではないかと思っております。
その額が、先にも述べましたように平成14年度末9825億円をピークに毎年減らしてきており、現在は8696億円なのです。
問題は、臨時財政対策債が平成13年の103億円から一気にこの11年間で急増していることで、結果見てくれの県債残高が毎年のように増えてきているように見えることです。
しかしこのことをもって、本県の借金が大きいというのは、ちょっと違うと思っていますし、交付税で後から戻ってくる借金は増やしてでも、実質の金利共本県自ら負担すべき借金を減らすことが、同じ借り入れでも有利であることはお分かりいただけると思います。
そういう意味では、本県の自らできる範囲においては、ずっと健全財政に近づけるように努力されてきているといえるのではないかと思っております。
報道ではそこまでの解説がないので、多くの県民に一面的な判断材料しか伝わっていないことが問題ではないでしょうか。