WEEKLY INSIDE STORY
第778号 費用対効果は?
林業皆伐実証結果から
2022年05月20日
全国的な課題でありますが、戦後植林された杉などの国産材がそれなりに成長し、伐期を迎えています。
これらの国産材は、孫の代になってやっとお金になるという息の長い事業でありますが、この間安い外材が輸入され、当初見込まれた価格では切りだしてもお金が残らないといった状況でありました。
そこで、伐期を先延ばしするなどの対策をとってきましたが、そういつまでも放っておくわけにはいきません。
なんとか、採算性のとれる林業をとの狙いから本県では県内4地区で、ICTを活用した低コスト作業の実証実験を行ってまいりました。
ドローンでの森林資源量調査やロングリーチグラップルという林業機械での集材作業の効率化などであります。
結果、労務工数が従来62.5人・日/haかかっていたものが、31人・日/haで済んだという報告を受けました。
いい結果でありますが、担当課にお聞きをすると、その皆伐でいくらで素材が売れたのか、それと新型機械のリース料とかトータルの採算はどうであったのかについては、資料がないようです。
これでは、コスト縮減はわかったけれども、果たして多くの方がこの手法を採用するのかについての答えを導き出すのは難しいのではないかと思ったものです。
何であれ、いいことは判っていてもビジネスとして成り立つときには費用対効果の採算性がなければ意味がないことは自明の理であります。
この説明を受けながら、民間と役所の感覚の違いを感じたものでした。