WEEKLY INSIDE STORY
第167号 森林保全に応援できますか?
岐路に立つ分収造林
2005年02月10日
今全国で、林業公社の累積赤字が問題になっています。その額37都道府県40公社で総額1兆638億円です。 本県でも、平成15年度末で550億円の借り入れ残です。
そもそも、この林業公社の造林事業というのは、昭和40年ごろから始まり、個人では整備できない森林を公社が代行して植林、維持管理をし、伐採期にはその収入を土地所有者4割、公社6割で分け合うというシステムです。
ところが、当時と木材を取り巻く環境が別表のように激変したため、売るに売れない状況となっているのです。つまり、木材価格が4分の1になったのに、人件費は逆に5倍になったということです。
昭和42年 | 昭和55年 | 平成15年 | |
---|---|---|---|
木材価格 | 19,640円/m3 | 17,880円/m3 | 4,800円/m3 |
人件費 | 2,720円/人日 | 6,730円/人日 | 12,330円/人日 |
外国産材の輸入割合 | 38.6% | 68.3% | 81.5% |
しかし地球環境の問題、森林の公益的機能を考えますと、このまま放置もできず、いろんな対策が検討されています。
その一つがこの分収割合を4:6から1;9にすることですが、土地所有者の同意を得られるかが鍵です。
しかし、それでもなお木材需要がない限り、伐採しても売れなくては意味がないわけですから、場所によっては保全の方向に進むところも想定されます。
結果、どうしても現状のまま推移すれば、公的支援など抜本的な対策が必要となり、環境税などの話題がでてくるのです。
どういう方法であれ、われわれの税金から補填せざるを得ないというのが本音ですが、要は我々の生活に森林が果たしている役割をどれだけの方が認識、理解を示していただけるかにかかっているといえるのではないでしょうか。
森林の効用は空気などと同様、目に見えないばかりに難しいといえますが、かといってないがしろにもできない、どちらにしても費用対効果の判断がしにくい案件であることは間違いありません。
皆さんなら、森林の支援にどれ位なら応援できるでしょうか?