WEEKLY INSIDE STORY
第219号 美保の松原も今!
自然とのいたちごっこ
2006年09月10日
皆さんご存知の「暴れん坊将軍」松平健さんが馬で駆け抜ける最初のシーンにでてくるのが、静岡県「美保の松原」です。
清水海岸の東部にあり、日本三大松原の一つに数えられているそうです。
それと背景の富士山との景観が素晴らしいということで、ドラマに使われたのです。
ところが、その砂浜の素になる砂や砂利を生み出してきた安倍川で、昭和30年代に過剰な砂利採取が行なわれ、大規模な海岸侵食が起こったのです。
それが、海岸沿いの道路にまで及ぶようになり、海岸線一帯に離岸提を敷き詰め、一方この美保の松原でも、消波提や人口岬(ヘッドランド)を設置することになりました。
結果は、写真にあるように、養浜とあいまって砂浜が確実に回復していました。
しかし、景観はどうかというと、鎖で繋ぐためのU字部分のついたむき出しのコンクリートが浜前面に見え、富士山をバックにした写真にも消波ブロックが一目瞭然です。
これでは、もう暴れん坊将軍の写真は無理でしょう。
やむをえない処置とはいえ、そもそも砂利採取という人間のなせる業でそうなったわけです。
そして、今その回復のために、膨大な予算をつぎ込み毎年養浜事業を続けています。
自分の都合で浜をなくし、またその浜を戻すためにお金をつぎこむ。
あらためて、人間と自然との関わり方に想いを致した次第です。
本県でも、千里浜の侵食が大きな課題になっていますが、これもまた手取川のダムが一因ともいわれます。
これらの自然とのいたちごっこ、生きてゆく上でどうしようもないのでしょうかね。