WEEKLY INSIDE STORY
第341号 勤務時間改定条例を継続審議に!
知事選のあおりか?自民党の乱れ
2010年02月20日
この2月19日、石川県議会最終日に、知事提出の議案「石川県の職員の勤務時間、休日及び休暇等に関する条例の一部を改正する条例案」を、自民党は審議不十分として継続審議にいたしました。
他会派は全員賛成にも拘らず、結論を先送りにしたのです。
少なくとも私が議会に参画して以来初めての事例です。
簡単に説明すると、石川県職員の勤務時間をこの4月より1日8時間を15分短縮することが、県民感情からして納得できないという声が自民党会派内にあり、それを集約できなかったということであります。
私も、景気が悪く、民間中小企業が大変なときに、公務員だけ優遇されているんではないかという市民感覚を否定はいたしません。
しかしながら、現在の我が国の制度では、公務員にスト権など労働基本権を制約している代償として、地方公務員法第24条第5項で、「職員の勤務時間その他、職員の給与以外の勤務条件を定めるに当たっては、国及び他の地方公共団体の職員との間に権衡を失しないように適当な考慮が払わなければならない」とうたわれており、それに基づいて昨年10月に人事委員会勧告がなされており、それを実施していないのは、本県を含む9県だけになっていたのです。
しかも、内8県はこの2月議会に提出予定であり、本県だけが取り残される可能性があります。
そこで、私なりに論点を整理したいと思うのですが、
① 国の人事院ならびに本県の人事委員会による民間企業の1日あたりの勤務時間の調査によれば、昨年時点で平均が7時間45分になっており、その民間の勤務時間に準じたということであり、公務員だけが優遇されているわけではないこと。
あくまでも公務員は後追いであること。
② 時短により残業手当が増える心配については、議会で増えない努力をするとの答弁があり、その取り組みも提示されており、今後注視してゆけばよい。
③ 所管の委員会で、この条例が4月実施ということで、それには間に合わせたいという自民党側からの意見があったが、だとするとあと1ヶ月ほどのうちに臨時議会を開いて通すつもりのようである。では臨時議会を開いてまで、1ヶ月延ばさなくてはいけないほどの蓋然性はどこにあるのか?
④ 法律と市民感覚とのずれというのは時代と共に必ずあるものであるが、現在の法律が「均衡の原則」を守るべきとなっており、それを遵守せざるをえない。それが許せないとすれば、寧ろこの前述した地方公務員法をどう変えるべきかという議論をすべきである。
事実、国の方では現在公務員のあり方についてスト権も含めて検討されているようで、その推移を注視してゆくべき。
⑤ 報道は一部しか県民に伝ることができず、制度や実態が正しく伝わらないリスクがある。我々が、いつでも市民感情が100%間違いないという論理で走るべきではなく、時としては冷静に公平に県民に訴える責務もあるのではないか。
こんな感想をもちながら、この当初議会を終えました。
どうも現職知事の推薦を決めながら、おなかの中ではすっきりしない一部の感情が根底にあるのではと、つい思ってしまう事態でありました。