WEEKLY INSIDE STORY
第363号 尖閣諸島問題から
日中関係について想う
2010年10月1日
「一難去ってまた一難」という言葉がまさにぴったりの昨今です。
尖閣諸島での中国漁船船長逮捕問題が、その対応をめぐって問題視されています。
国内法にのっとり厳正に対応するはずであったものが、中国からの即時釈放などの主張から、レアアースの対日輸出禁止措置や、訪日団の中止、更には河北省での日本人4人の拘束が期を一にして、処分保留のまま解放されました。
多くの方々が、日本の外交の拙さに異を唱えています。
この10月に、日中友好協会60周年記念で訪中する身としては、どう決着が図られるのか、見守るしかないのが残念です。
しかし、今回の騒動を通じて、わが国の領土問題に対する関心の希薄さ、あるいは中国が社会主義国であることを改めて再認識したといった点で、考えさせられたのではないでしょうか。
経済を見れば、近年は中国への依存が高く、片方で、専守防衛の観点から、できることに限界があるのも事実でありましょう。
はたして、どうすればよかったのか。
相手のあることですし、外交の駆け引きからは、間違いない回答はそう簡単には見つかりません。
ただ、一ついえるのは、このような問題を突き詰めてゆくと、最後には、戦後の日本人の精神のありかたみたいなものに、行き着くのではないかと感じます。
高齢者虐待や児童虐待、さらには地検特捜部の証拠書類の改ざんなど、信じられないことが日常茶飯事になりつつありますが、これらを含めて、どれ一つとっても、対蹠療法では解決しない、日本人の心の問題にメスを入れなければどうしようもないのではないかと思うこの頃です。