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石川県政に向けて

石川県における市町村合併モデル試案について

2002年01月10日

1.はじめに

 

 近年、地方分権推進一括法の成立などを契機として、従来以上に市町村合併というものが議題にあがるようになった。

 その前提としていわれているのは、介護保険など多様な住民サービスを提供する受け皿として、今の自治体の大きさがそれでいいのか、また交通インフラや通信の発達によって、住民生活圏の拡大がもはや行政区域を遥かに超えている実態などが挙げられる。

 その様な中、自治省では昨年8月6日に「市町村の合併の推進についての指針の策定について」という通知を都道府県知事に出し、2000年度中に合併パターン等を内容とした「市町村の合併の推進についての要綱」を策定するよう要請した。

 また、98年度からは人口が4千人未満の町村への地方交付税を削減するなど、合併推進のための財政優遇策と併せて、アメとムチと言われる両面から市町村合併を推進する方向を打ち出してきている。

 本来、市町村合併は、谷本知事が本会議場で度々答弁しているように、関係市町村の住民の意思が十分に尊重される中で、あくまでも自主的に決定されなければならないのは事実である。

 しかしながら、少子高齢化の急激な進展や財政の硬直化を前にして今日までの国、県、市町村という三層制の行政システムそのものの在り方にもメスをいれなければならないし、その過程の中で、基礎自治体の在り方も問われているというのも事実である。

 従って、今回の都道府県による合併パターンの提示は、そこに住む住人に対して、市町村合併の意義等を真剣に考えてもらう一つの契機になれば、幸いであろう。

そしてその中から、議員の数が減るとか、目先の地方交付税が減るとかの議論を超えて、合併気運が盛り上がり、より自立した基礎自治体が誕生するならば、真の地方分権時代の到来といってもいいのではないだろうか。

 今回、当会派として、県の合併パターンの提示を前に一つの提言として試案をまとめてみた。

 今回のくくりによって住民の日常生活パターンが大きく規制される訳ではなく、従来からの行政における広域的なつながりを基本に据えて設定した。

 今後の議論の中で参考にして頂ければ幸いである。

 

2.第1次市町村合併試案について

 

 自治省の通達によれば、合併のパターンとして

   1, 人口50万人超

   2, 30万人、20万人程度

   3, 10万人前後

   4, 5万人前後

   5, 1万人 から 2万人程度

の5つの類型をあげているが、どの基準でパターンを示すかによってどの様にもなる。

 しかし、昭和28年の合併促進基本計画で既に最低8千人以上を目標としている事。

 市制施行の要件が本来5万人超であること。

 更には、現在の土木事務所、農林総合事務所が広域的に幾つかの市町村を統括して業務を遂行している事等に鑑みて、人口5万人超というのを基準と設定した。

 その案が別図1である。

 人口は、金沢市を除くと約6万7千人から15万8千人程度になり合計8市に集約される。

 市域は奥能登が1,130kmと広大になるが、現在の全国の市の最大面積いわき市1,231km、町の最大足寄町1,408kmと比較すれば決して不可能な合併ではない。

 そして、この合併パターンになった場合、職員数で約2千名弱、人件費で年間約65億円の節税が見込まれる。

 また、議員数においても全県下で約370名減、議員経費で現在より約5億円の節税が計られることが予想される。

 勿論、合併のメリット、デメリット等は様々な角度から議論されるべきであるが、片方において金沢市が中核市として人口45万人超の人口、更には人口10,900人に1人の議員割合をもって行政を行っている実態を考えた場合、この合併パターンが著しく行政サービスの低下を招くとは考えられないし、それ以上に民間企業のリストラ等の実情と比較しても、この経費削減のメリットは住民にとって計り知れないものがあると考えるべきである。

 (注1)別表1の第1次試案の職員削減見込数等は、金沢市以外の7市が人口で5万人超となる事から現下の人口5万人超の小松市、加賀市、松任市の平均値を基準にすえて積算したものである。

 (注2)その際、職員給与は金沢市以外において現在平均年4,431千円が4,711千円に上昇すると想定している。

 (注3)改定議員数は、金沢市をそのままにして他7市は現在の地方自治弟91条の1議員定数の上限数とした。

 (注4)その際、議員経費は金沢市以外において現在平均年4,678千円が9,412千円に上昇すると想定している。

 

3.第2次市町村合併試案について

 

 行財政改革が不断のテーマとすれば、市町村合併も第1次試案のようなパターンに落ち着けばそれで良いというものでもない。

 住民に身近な行政サービスは一番身近な基礎自治体ですべて解決できるという地方自治の最終目標を考えた時、金沢市が中核市となり県の権限委譲を他市町村より遥かに受けて、自立しつつある姿を見れば、真の地方主権を確実にするためには、将来目標としてもっと大胆な目標を設定すべきである。

 それが、この第2次試案である(別図2)。

県下3市に集約された場合、別表1にあるように職員数で、4,200名余りの減、職員経費で年間128億円余、職員数で現在より528名の減、議員経費で年間15億円弱の節減が見込まれる。

 この目標が達成されたあかつきには権限・財源共に市に委譲され、国と市の2層制で日本の行政が行われる事すら可能にさせるものと考えられる。

 (注1)別図の職員削減見込数等は、余りに雑白すぎるとの批判を覚悟しつつ、現下の金沢市のデータを基準にして積算したものである。

 (注2)その際、職員給与は、全県下平均年間4,690千円が5,396千円に上昇すると想定している。

 (注3)改定議員数は、3市においてそれぞれ地方自治法第91条の1議員定数の上限数とした。

 (注4)その際、議員経費は、全県下現在平均年間5,279千円が14,288千円に上昇すると想定している。

<別図1>

<別図2>

<別表1>

 

各案に伴う職員及び議員削減数及び削減経費見込

各  案
現況職員数(人)
案の職員数(人)
職員削減数(人)
職員削減経費(千円/年)
現況議員数(人)
案の議員数(人)
議員削減数(人)
議員削減経費(千円/年)
第1次市町村合併試案         (1市5万人超)
13,890
11,898
1,992
6,539,157
672
302
370
500,043
第2次市町村合併試案(中核都市構想)
13,890
9,698
4,192
12,820,489
672
144
528
1,489,803

 

《参考》  現況実績表

人口
(人)
職員数
(人)
職員一人当
たり人口 (人)
職員費
(千円)
職員一人当たり年経費(千円)
議員数
(人)
職員費
(千円)
職員一人当たり年経費(千円)
金沢市
456,836
3,737
122
20,165,269
5,396
42
600,112
14,288

議員費 : (議員歳費、視察経費、議員旅費、政務調査費)

人口
(人)
職員数
(人)
職員一人当
たり人口 (人)
職員費
(千円)
職員一人当たり年経費(千円)
議員数
(人)
職員費
(千円)
職員一人当たり年経費(千円)
小松市
108,269
1,528
71
6,473,893
4,237
26
274,908
10,573
加賀市
68,883
699
99
3,862,903
5,526
24
211,565
8,815
松任市
65,096
509
128
2,552,693
5,015
19
162,986
8,578
242,248
2,736
89
12,889,489
4,771
69
649,459
9,412