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日本政治の実像と虚像

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WEEKLY INSIDE STORY

第254号 今回も繰り返すか?

自民党総裁選

2007年09月20日

 安倍総理が、前代未聞の所信表明の後、間をおかずして辞任し、自民党の総裁選が始まりました。

 安倍氏は戦後生まれの最初の総理ともてはやされましたが、最後の結末は、参議院選挙後すぐ辞めるという潔さも、逆に総理の立場に粘るという根性も持ち合わせず、残念なことになりました。

 その後の総裁選は、あっという間に福田氏で決まりの流れができつつあるようです。

 その背景を見ておりますと、一つには世代間抗争があると思います。

 小泉内閣で派閥の推薦を受けずに閣僚を決定し、安倍内閣ではお友達内閣といわれたように当選回数の若い議員を重用したきらいがあります。
 それに対し、かっては当選回数を5~6回重ねてようやく入閣の資格ができるといったのが自民党の慣わしでありましたから、ベテラン議員の中には面白くない方もおられたことと拝察します。
 従って、派閥の領袖クラスが福田さんに期待をする本音の部分にベテランに配慮してくれるという期待があるのは否めないと思います。

 また、振り子現象ではないですが、極端の次は反対の方に振ることによって、国民の支持を自民党に繋いできたというのが、今日までの先例です。

 たとえば、ロッキード事件で田中角栄氏が失脚したあと、最小派閥でありましたが、クリーンというイメージのあった三木武夫氏に総理を持っていったり、支持率の低下が著しかった森喜朗氏の後に変人といわれていた小泉氏を持っていったことなどが、思い起こされます。

 今回も、やはり安倍氏が若すぎたという反省から、71歳で安定感のある福田氏にシフトしてゆこうとするのも、ある意味これも振り子の原理かなと感じます。

 ただ、最近の選挙では、比例の獲得票で民主党が自民党を上回っています。
 それでも、やはり今回も自民党に国民は回帰するのでしょうか。

 自民党の中での擬似政権交代よりは、そろそろ本当の意味での政権交代が一度起こってくれなければ、わが国の民主主義は少しも成熟しないのでないかと感じていますが、皆さんは今回の動き、どのような感想をもたれたのでしょうか?