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日本政治の実像と虚像

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WEEKLY INSIDE STORY

第270号 見えてきた官僚機構・・その2

市民に接しない課題

2008年03月1日

 いま、イージス艦の衝突事件で防衛省のお粗末な対応が日々明らかになりつつありますが、官僚機構の課題も同時に多くの方々に見えてくるようになりました。

 これで危機管理が大丈夫かという声が、与党内からも起こっているようですが、ここ暫くを振り返っても、障害者自立支援法の問題、年金の記録保存のずさんさ、更には建築基準法の見直しの拙速さなど数えたらきりがありません。

 障害者自立支援法では、介護保険法と同じく1割の負担をすべきとの原則を押し付けようとしましたが、低所得の障害者がその負担に耐えられず、従来行っていた施設にいけず引きこもりになってしまうという問題が起こるなど、本格施行からわずか2ヶ月で見直しをせざるをえませんでした。

 年金の記録保存では、申告主義に基づいていることをいいことに、長年放置し、担当官の移動と共に責任の所在をあいまいにし、結果その裏づけのためにいま公費がまた使われています。
 民間の銀行などでは住所が変ろうときちっとフォローしていますが、それと比較したら如何に安易かわかります。

 また建築基準法では姉歯事件を契機に改正がおこなわれましたが、構造計算の基準作りが遅れたため、制度が発足して以降、確認申請手続きの大幅遅れとなり、日本全体で建築工事がストップしてしまうという、いわば官製不況ともいわれる状況が続いています。

 これらの案件を見るにつけ、中央省庁の仕事はまさにデスクワークで、現場の声を知らなさすぎるという想いを強くします。
 市役所などは毎日市民が訪れ、日々市民の声にさらされていますが、中央省庁はそんなことはありません。
 将にこの違いが、昨今起こっている国の諸問題の根底にある大きな原因と思います。

 そして、この市民の目に触れないことが、道路特定財源をスポーツ用品購入代金にあてるといった問題にもつながっていっているのではないでしょうか。

 「市民感覚を大事に」というのは、口で言うほど簡単ではないですし、だからこそ謙虚に話を聞く姿勢だけは持ち続けたいものです。