WEEKLY INSIDE STORY
第284号 民事再生法をめぐって
JVの課題も
2008年07月20日
この7月、本県の上場会社真柄建設㈱が、民事再生法の手続きを申し立てました。
石川県での最大手建設業であり、負債総額は約348億円、一般債務者は約2000社という大きな影響をもたらしています。
本県で、このような大きな民事再生法適用はちょっと記憶にありませんし、改めてこの法律の功罪等が見えてきたように思えます。
もちろん今回の場合、銀行の専務が社長に就任してわずか1週間で、再生法申請ということで、メインバンクの責任問題等がささやかれていますが、当面の資金繰りも含めて、下請け企業にとってはゆゆしき事態です。
そもそも、民事再生法は旧和議法の欠陥等を補うものとしてできたものと承知しておりますが、債務者がそのまま事業を続けながら再建を目指そうというものでありますから、建設業界でいうと、極端な言い方をすれば「下請けを殺して自分だけ残ろう」というものです。
従って、元請としての下請けへの誠実な対応がまず求められると思っています。
これから、再生計画ができるまで棚上げされる再生債権の額が決定してゆくと思いますが、その額が納得のいくものなのか、進行中の153件の工事の残金が間違いなく現金で支払われるかなど、課題が残っております。
この民事再生手続きそのものが、債権者の不同意によって廃止されないためには、このあたりをきちっとしてゆかなくてはいけないでしょう。
さて、今回真柄建設㈱が受注した事業のうち、JVの案件もありました。真柄建設がJVの頭であるものとそうでないものがありましたが、明暗をわけています。
発注者側はJVの企業体に支払いするわけですが、下請けは頭の企業から支払いを受けます。
従って頭の企業が別の場合は、今回の民事再生が直接影響を及ぼすことはありませんが、頭が真柄建設の場合、真柄建設の手形をもらうことになりますから、数か月分の支払いでまともに影響をかぶってしまうのです。
今回の民事再生を契機に、JVの支払い方法等に見直しが必要ともいえるのではないでしょうか。
ともあれ、ただでさえ景気が減速傾向に入った矢先の事故でありますから、本県への影響ははかりしれません。
当面の下請け対策はもとより、行政としてなしうるあらゆる手段を講じてゆかなくてはと思っています。
なお、かねてより主張しておりました公共事業の最低制限価格の引き上げがようやくなされるようになりましたが、うれしい反面、こんなことが起こらないと踏ん切りがつかない行政のもどかしさも感じた一時でありました。