WEEKLY INSIDE STORY
第301号 建設業の多角化をめざして
言うはやすし、現実は?
2009年01月10日
公共事業が、ピーク時の4割あまりとなって、なお縮減傾向は止まりません。
地方にとって、インフラ整備は依然として必要なものであり、地域経済の中で、この公共事業が大きなウエイトを占めている地方も少なくありません。
しかし、国・地方を挙げて財政厳しきおり、そう安易に事業費が増えることも見込めず、各企業がこのような状態から脱却するため、業態を多角化することを行政も支援し始めました。
けれども、事業の多角化といってもそう簡単ではなく、もしそんなに利益のでる仕事があるんならばとっくに別の方がやっているでしょう。
そんな中、実例として福祉分野あるいは農業分野への転出があげられますが、たまたまその多角化事業にいくつか関わることができたので、感想を述べてみたいと思います。
第一に福祉の分野では、
① 介護保険の対象案件では各市町村で総数に網をかけており、その枠をとるのが大変であること。しかし、それを確保できた場合には毎月安定的な収入が見込め、経営の安定化につながること。
② 人を扱う仕事であるので、マンパワーが極めて重要であり、福祉事業に造詣や経験の深い方との提携がうまくいくかどうかが大事であること。従って、コスト意識ばかりが先行した場合には、思わぬ足をすくわれる可能性がある。
③ 遊休地面の有効利用が可能で、単なるアパート経営よりも創意工夫ができ、魅力的ともいえるし、業態によっては社員の転用も可能であることなどがいえます。
第二に農業分野では
① 日本の農政が農地・農業者に執着しすぎて、他産業からの参入に、口で言うほど積極的ではない。
② 補助金行政にべったりで、コスト意識が低い。採算をしっかり考えないと、余暇事業に終わってしまう。
③ 1年ですぐ成果を出せるかというと、自然を相手にしている以上難しさがある。
④ できた農産物の販路に対するノウハウがないので、販路に対する対策を前もって考える必要がある。
こんなことがいえるのではないかと思っています。
しかし、成功あるいは進行しつつあるものもあり、できれば業界が元気になるためにも検討される方が増えればと思っています。
とにかく、年度当初から景気は厳しい情勢であり、その中で各企業にしっかりと生き残っていってほしいと思いますし、また応援してゆけたらと願ってやみません。