WEEKLY INSIDE STORY
第302号 規制緩和の光と影
早くも見直しが続々と
2009年01月20日
多くの国民の期待を担って登場した小泉政権下で、やはり特出すべきは「規制緩和」政策ではないかと思います。
そして5年余り、今その功罪があちこちで問われています。
郵政民営化の中での、「かんぽの宿」の一括売却をオリックスにということに自民党総務大臣が異議をとなえました。
規制改革の推進会議議長を務めていたのがオリックスの会長であり、その会社が一括して購入した場合、短期で売却してしまうんではないか、あるいは雇用は継続して確保できるかなどに疑義をはさんだわけですが、そもそも規制緩和とは、地域事情とかを忖度することなく、経済合理性を最優先に考えていいというものの考え方ではないかと思います。
またタクシーの営業台数の規制も、小泉政権で撤廃、自由化されましたが、料金は安くなったものの供給過剰による運転手の所得激減などをまねき、今国土交通省では認可制を復活させるようであります。
そして、さらに大きな社会問題となっているのは、非正規労働者の大量解雇であり、これもそもそもの原因は、小泉政権下での派遣労働法の改正によるものでありました。
規制緩和は、時代的要請があったにしても、必ず光と影があるわけでして、この5年余り、地方が一番その被害をこうむったといっても過言ではありません。
その一方で昨年東京都の人口は10万人増え、それは消費者増につながりますから、一層企業活動が盛んになるということになります。
このような格差拡大こそが、規制緩和の影の部分として大きな問題といえるわけですが、そのことへの反省やら検証というのはどうなっているのでしょうか。
本来、前もってこのようなことを予測し、バランスをとってゆくそんな能力が、政治や行政に期待されているものと思います。
しかし、残念ながら小選挙区選挙の中で政争にあけくれ、じっくりと議論することがない、今の制度の欠陥を、ここにも垣間見る想いです。
じれったいことの連続といったら叱られるかもしれませんが、これも民主主義のコストというべきなんでしょうかね。