WEEKLY INSIDE STORY
第305号 オーストラリア視察から-その2
エコツーリズム ニッチから主要産業へ
2009年02月20日
最近、エコツーリズムという言葉が注目されるようになりました。
その定義は、「生態学的に持続可能な観光であり、特に自然豊かな地域での環境や文化に対する理解・感謝・保護精神を促進するものである」ということになろうかと思いますが、簡単に言うと、自然をいためないで、花見を楽しむなんてことではないでしょうか。
今回の視察で、最初にブリスベンに降り立ち、「クイーンズランド州政府観光局(Tourism Queenslando)」ならびに「クイーンズランドパークス・アンド・ワイルドライフ(Queenslando Parks and Wildlife)」での取り組みを聞いてまいりました。
クイーンズランド州は、5つの世界遺産と200の保護地域をもっており、年間の観光客の支出はGDPの6%に相当する84億ドル、136,000人の雇用を創出しているとのことでした。
国内観光客1780万人とあわせ、海外からの観光客も年間220万人、ニュージーランド、イギリスについで日本は3番目、約20%をしめているとのこと。
エコツーリズムというのが、かってのニッチ産業(隙間産業)から主要産業にまでなっているとの報告をお聞きして、自然を活かすことによって地域産業にまで発展できるということを示してくれました。
世界遺産との看板が観光客を呼ぶのは万国共通のようで、それをどう持続的に、かつ収益性を兼ね備えた魅力的な産業にまでもってゆくか、「エコツーリズム・プラン2003-2008」という計画に基づいて、諸施策を展開しておりました。
振り返って本県でも、能登や白山麓で農業体験などを含めたグリーンツーリズムというものが指向されていますが、まだまだ産業というには程遠い状態です。
金沢・白山の世界遺産登録運動も、ユネスコの動きからすると、実現可能性も予断を許せません。
しかし、仮に能登を捉えたときに、何が魅力かといえば、やはり日本人の原風景とも言える自然ではないかと思います。
これを、どう保存し、地域産業につなげてゆくかが課題ではないかと常常思っておりましたが、そのお手本ともいうべき地域があるということで、意を強くした想いでした。
翌日には、世界遺産の一つであるスプリングブルック国立公園内をトレッキングし、エコツアーの実体験もさせていただきました。
亜熱帯雨林の中を歩いてまわるわけですが、能登金剛や千枚田も決して自然景観としてはひけをとらないことを、寧ろ再認識して帰ってまいりました。
いかに自然を産業として活かすか、難しい課題でありますが、その素材を本県が有していることだけは間違いないのではないでしょうか。