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日本政治の実像と虚像

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WEEKLY INSIDE STORY

第312号 メリットはあったのか?

市町村合併から5年

2009年05月1日

過日、能登半島を廻っております時に、ある庁舎の前を通りました。

 かっては、その町の庁舎であったのですが、市町村合併によって分庁舎となり、見たところ、2階が使われている雰囲気がありません。

 たまたま人がいなかったからそう感じたのかもしれませんが、町の中心的な建物が廃れた雰囲気というのは、はたして市町村合併がうまくいったのかという疑問を住民にもたせるのではないかと、ふと感じたものです。

 平成の大合併と喧伝されて、本県においても41市町村が、19の市町に集約されました。
 それからはや5-6年が経過しております。

 もちろん、議員の数の大幅削減や、職員数の増加による質的向上、またそれに伴う行政コストの削減など、じわじわと成果のでてくるものもあります。

 しかし、合併の財源的なメリットとしてうたわれました
合併特例債がどうであったのかのかと調べましたところ、現在629億円ほど使用され、その達成率は36.2%でした。

 この合併特例債とは、事業費の95%に活用でき、しかもその70%が後から交付税で戻ってくるという制度で、地元市町村とすれば、自主財源が少なくて事業ができるというもので、合併後10年間使えるわけですが、県地方課にお聞きをすると、ほぼ消化できる見込みであるとのこと。

 しかし、中身はというと、本来予定されていた事業に上乗せして使われているというより、従来の事業に充当したときに、より補助率がいいから使うといったものが多いのが事実です。

 しかも、合併特例債は今申したように、事業費の95%に充当でき、内70%が交付税で戻ってくるという制度ですが、
過疎債は100%充当でき70%交付税補填、辺地債は100%充当80%交付税補填ということからすれば、過疎地域の指定を受けているところでは、合併特例債よりも、過疎債、辺地債を利用した方が有利という現実があるのです。

 従って、国からの補助金などない庁舎建設などにおいては、この合併特例債は十分魅力はあるけれども、従来型の道路建設などではちっともうまみを感じないということになります。

 本県では過疎地域の指定を受けている市町村は、
穴水町、能登町、加賀市のうち旧山中町、白山市のうち旧吉野谷村、鳥越村、白峰村、志賀町、輪島市、珠洲市、七尾市のうち旧中島町、能登島町です。

 私は分権の受け皿としてしっかりとした自治体をつくるべきと思っていますが、最初いわれていたよりは、合併での財政的メリットは少なかったと感じる自治体が多いのではないかと推察もできるわけであります。

 はたして合併市町にお住まいの皆さんの率直なる感想はいかがでありましょうか?