WEEKLY INSIDE STORY
第429号 フリーゲージトレイン視察から
今後の展開は?
2012年08月1日
今般、北陸新幹線敦賀までの着工認可の過程で話題となりましたフリーゲージトレイン(軌間可変電車)の現状を知るべく、四国予讃線での走行試験視察に行ってまいりました。
フリーゲージトレインというのは、軌間に合わせて線路上を走行可能な電車のことであり、スペインでは2006年より実用化しております。
我が国では、平成10年に第1次試験車両が製造され、現在はその2代目がJR四国多度津工場を拠点に、予讃線で試験走行をしております。
現状での開発目標は、新幹線上で270km/h以上で高速・安全・安定走行ができること、および在来線直線部で130km/h、曲線部で現行特急車両と同等の速度で安全・安定走行ができることとなっております。
当初は、急曲線部でこの目標を下回っておりましたが、改良を重ね、現在は基本的な走行性能に関する技術は確立できたとのことです。
ただし、実験データ獲得のため、新幹線レール(標準軌1,435mm)で60万km、在来線(狭軌1,067mm)で5万kmの走行実験が必要とのことで、本年度の予算で第3次車両の建設と九州新幹線上での実証実験が、今後予定されているとのことでした。
そもそもは、九州新幹線長崎ルートに導入を前提として開発されてきたものですが、北陸新幹線の敦賀以西がまだルートすら決まっていないことから、今回の敦賀までの着工認可の前提になったのではないかといわれております。
しかし、北陸新幹線では、全線フル規格でという目標は変わっておらず、今回のフリーゲージトレインはあくまでも暫定措置というふうに理解しております。
事実、積雪時での実験は全く行われておりませんし、300キロを超えるスピードの新幹線に、270キロしか出ない車両が入ってきた場合に、その高速性を担保できるのかなど、これからの課題はまだまだあるようであります。
ただ、第3次車両では、車体の軽量化を目指し、アルミからFRPや炭素繊維の導入なども検討しているとお聞きし、我が国の技術の進歩が、今後どの程度の成果をもたらすのか、興味を持って注視してゆきたいと思ったものです。