WEEKLY INSIDE STORY
第499号 木造9階建ても!
CLTの可能性
2014年07月10日
過日、岡山県真庭市にあります集成材工場を視察に行ってまいりました。
そこでは、従来の集成材プラスCLT(Cross Laminated Timber)という、引き板を直交して重ねて集成材にした新たな部材の製造過程も有しており、これを是非自分の目で見たかったのです。
このCLTは1990年代からオーストリアを中心に発展してきた新しい木質構造用合板で、日本では一般に「直交集成版」といわれています。
すでにこの集成版を使って、欧州では木造の中層マンションなどが建てられています。
我が国では、2年後を目標に、建築基準法の改正によって、この部材での中層建物が建築できるよう準備が進められていると聞いています。
この工場では主に欧州材による集成版でしたが、国産杉も充分対応できます。
といたしますと、今後出材されるであろう杉材を大量に使うことができることになり、全国的にも国産材活用に大きな道が開ける可能性を秘めているのです。
一日も早い実用化を期待していますが、一方仕口は金物工法が中心で、我が国古来の軸組み工法での仕口が必要ありません。大工さんの腕の見せ所がないということにもなります。
時代の変化といえばそれまでですが、釘を1本も使わない歴史的建造物の技術が廃れなければいいがと、いらぬ心配もしたものです。
それでも、やはり木材は人に優しいということから、この新工法の普及が待たれるところでもありました。