WEEKLY INSIDE STORY
第589号 身近な世界企業
YKKの視察から
2017年02月20日
過日、北陸3県の議員会で隣県富山のYKKを視察する機会に恵まれました。
KYYといえば、ファスナーのイメージですが、現在はYKK APという建材やサッシなど住宅関連資材の方が売上高が高いそうです。
現在、世界を6極にわけ、71の地域で事業活動を行っており、従業員数44250名、まさに世界企業です。売上高が2016年3月で7419億円余、そのうちファスニング部門だけでも、3266億円ということで、将に驚きです。
創業者吉田忠雄氏の「善の巡環」と表現される、事業は社会のもとという精神の下、世界中どこでも「土地っ子」になって地域貢献をしながら事業展開をしてきたことが、今日の繁栄につながっています。
黒部市という、人口40000人強のところに拠点をおき、家族も含めると人口の4分の1はYKK関連とのこと。
社員の通勤に資することから、循環バスへの支援も行っているとのことですが、かなりの持ち出しが拝察されます。
もう一つは、パッシブタウン*(PASSIVETOWN)という自然を活かした住宅街を順次作っておられることで、黒部市の恵まれた地下水や木質バイオマスによる冷暖房に、本業である外断熱システムを組み合わせた環境にやさしい街づくりをしておらることも、説明をうけました。
著名な建築デザイナーに設計を依頼されているそうですが、ただ気になったのは、黒部市という地方の町で、1LDK(14.62坪)で111000円、3LDK(26.17坪)では199000円という高い賃料でした。
冷暖房がタダにしても、果たして地域の皆さんがこの賃料をどう感じるでしょうか。
ビジネスとして捉えた時には、「確かにいいものであることは分かるけれども価格がねえ」ということで、自己満足で終わってしまうのではないかと資料を見ながら感じたものでした。
しかし、バスも住宅街も、やはり大企業でしかできない事業展開ではあります。
*パッシブタウン PASSIVEはACTIVE(活動的)の反対語で受動的という意味ですが、環境や自然をありのままに受け入れて活用するといった意味で使われています。