WEEKLY INSIDE STORY
第781号 朱鷺の定着は?
8月にも決定か!
2022年06月20日
今般、環境省は本州等における朱鷺の定着を目指し、「トキと共生する里地づくり取り組み地域」を公募いたしました。
それに、石川県は、本州最後のトキ「能里」が能登に生息していたことや、朱鷺の分散飼育の実績がすでにあることなどから手を挙げ、この8月にも決定される予定となっております。
客観的な実績等から、間違いなく選定されるものと思っておりますが、いざ選定されますとこれから様々な取り組みが要求されてきます。
トキが生息するための浅い水辺等の通年的な採取環境や、ねぐら営巣場所となる森林整備など、広範囲に環境を整えてゆかなくてはなりません。
また環境保全型農業も必要となってきますので、能登でトキの放鳥を見ることができるまで、まだかなりの時間を要することとなります。
その上、本県ではすでにトキの観察館などの施設整備に13億8000万円、分散飼育しているトキの飼育に毎年4400万円ほどかかっており、皆さんが思っている以上に、経費がかかっているのが現実です。
過日委員会で報告がありましたが、佐渡のように島ではありませんので、能登で放鳥しても他の地域に移ってしまっては、県費を投入した意味が問われることになります。
ここはやはり、放鳥ではなく定着というものをしっかりとした目標として考えるべきと要望しておきました。
トキの定着は、それ自体が目標というよりは、トキと共生できるような生物多様性が担保されている地域であることを目標にすることであろうと思っております。
能登の世界農業遺産とあいまって、トキが定着してくれれば、能登の自然環境の素晴らしさを一層発信してゆけるものと思っております。